歯を溶かす？酸性の飲食物が引き起こす「酸蝕症」とは｜原因と対策を解説｜北千里の歯医者・矯正歯科「北千里カツベおとなこども歯科・矯正歯科」の医院ブログ

歯を溶かす？酸性の飲食物が引き起こす「酸蝕症」

「酸蝕症（さんしょくしょう）」という言葉をご存知でしょうか。
これは、食品や飲料に含まれる“酸”が原因で、歯の表面が徐々に削られていく状態を指します。
虫歯のように細菌が関与するわけではなく、酸そのものがエナメル質を侵す点が特徴です。

酸蝕症とは？

エナメル質は人体内で最も硬い組織のひとつですが、酸には弱く、
酸性の飲食物に繰り返しさらされると、少しずつ薄くなってしまいます。
臨床研究でも、酸性飲料の頻回摂取が歯の“酸蝕”リスクを高めることが確認されています。

意外と多い！酸性度が高い飲食物

健康や美容のために、ビタミン飲料・お酢ドリンク・フルーツスムージーなどを日常的に摂る方が増えています。
しかし、これらは歯にとって注意すべき要素にもなり得ます。例えば以下のようなものが、酸蝕症の原因になりやすいとされています。

• フルーツ（特に柑橘系）
• フルーツジュース／スムージー
• 酢や酢を使ったドリンク
• 炭酸水や炭酸飲料（甘味がなくても酸性）
• スポーツドリンクやビタミン補給飲料

これらを日常的に摂取していると、気づかぬうちに歯に負担をかけている可能性があります。

酸蝕症と虫歯は何が違う？

酸蝕症と虫歯は“歯が溶けていく”という点では似ていますが、原因は異なります。

• 虫歯：口の中の細菌が糖分を分解して酸を作り、その酸が歯を溶かす。
• 酸蝕症：飲食物に含まれる酸が直接歯に作用し、エナメル質を溶かす。

つまり「甘いものは控えているから虫歯にはならない」と思っていても、酸蝕症は別の経路で進行し得るのです。

歯を守りながら酸性食品と付き合う4つの方法

酸性の食品・飲み物を完全に避ける必要はありません。むしろ、正しい知識と付き合い方を意識することが大切です。

1. 薄めて飲む・一気に飲まない：酢やジュースは水／炭酸水で割って酸の濃度を下げ、ゆっくり長時間飲むよりも短時間で飲み切る方が歯への影響が少ないとされています。
2. ストローで飲む習慣をつける：前歯への直接接触を減らすことができます。
3. フッ素でエナメル質をサポート：フッ素入り歯みがき剤を使うことで、再石灰化を促し酸への抵抗力を高めることが可能です。
4. 歯科での定期的なメンテナンス：酸蝕症の初期サインを見逃さず、早期に対応することが重要です。

まとめ：健康と歯、どちらも大切にするために

酸性の飲み物や食べ物には、健康や美容に役立つものも多くありますが、歯のエナメル質への刺激が強いという側面も持ちます。
「酸性＝悪い」ではなく、適切な付き合い方で、歯を守りながら安心して楽しむことができます。
ほんの少しの工夫が、歯の寿命を延ばす力になります。ぜひ今日から意識してみてください。